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伊藤詩織さんからのことば

この会を立ち上げていただき、支えていただきありがとうございます。

当初はこのように支援していただく事に戸惑いがありました。個人の裁判のケースを支援していただくよりも、今後改善していかなくてはいけない法改正や捜査方法などもっとサポートが必要なところに向けられるべきと思っていました。しかし今後、この裁判が未来に起こる裁判へもたらす影響などを考え、やはりこの裁判を一つの例として改善の糸口につながるきっかけになればと、支援の会にサポートをお願いすることにしました。


発起人メンバーとともに、話し合い、仮に付けられていた「Fight Together with Shiori」という会の名前に、これは私だけの戦いではないことを強調したいという思いを伝え「Open the Black Box」という名前にしていただくなど、些細な気持ちの部分にも寄り添っていただいている事に本当に感謝しています。

これまでブラックボックスとされ真実へ目を瞑ることを強いられてきた現在の司法や社会のシステムを少しでもオープンにするため、この2年間、声を上げ続けてきました。

刑事事件では、タクシー運転手の方の証言やホテルの防犯カメラの映像、そしてDNAなどの証拠がありましたが、警視庁の刑事部長からの逮捕の差し止め命令があり、書類送検されたものの証拠不十分として不起訴となりました。

その後、再度調べてほしいと申し立てた検察審査会も同じ結果でした。検察審査会では何を証拠として採用するかを審査会側で決めることができる上、その内容は明かされることはありません。開示請求をしても、やっとのことで手に入れた書類は真っ黒に塗りつぶされたものばかりでした。

アメリカで弁護士をされている方から「これだけの証拠があれば十分起訴されるに値する証拠があるのに何故?」と質問されたことがあります。日本の性暴力に関する司法には、ブラックボックスが多く存在します。

しかし、今回の民事裁判では刑事事件では公にできなかった書類や証拠などを裁判所で開示することができます。 これまでわかってきたことを一つ一つ並べて、オープンにして、皆さんと一緒に現在の司法について考え、少しでも改善につながる機会になればと願っています。

今も、日常の中の些細なことがトリガーになり、当時のことがフラッシュバックされ、発作のようなパニックに襲われることがあります。今年は4年ぶりに日本でみた美しい桜がトリガーになりました。被害直後、満開の桜を目にしたことを思い出したのでした。

この裁判は一つの過程でしかなく、その後も私たちの人生は続いていきます。「被害者は笑わない」という人がいます。被害を受けたから。とそこで人生が終わるわけではなく、その事実を抱えて、生きていかなければならないのです。だから笑うことだってもちろんあります。私をここまで支えてくれたのは「何故」と一緒にブラックボックスに光を当てようとしてくれる仲間がいたからです。

今回、この会を立ち上げてくださったことに、希望を感じています。ぜひ皆さんにこの裁判の過程を知って頂き、現状のシステムの何を変えていくべきなのか、一緒に考えていけたらと思っています。

これまですでに多くの方から支援をいただいていると伺いました。一緒に立ち上がってくれて、本当にありがとうございます。

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