Tran林文恵

伊藤詩織さんへ
初めてご連絡を差し上げます。
いつも報道を通じて伊藤さんが受けた被害に関する裁判の行方を見守っていました。
直接には存じ上げないながら、伊藤さんが、肉体的そして精神的な傷を超えて、他にも多くいるであろう同様の犯罪に対する被害を受けながら、沈黙せざるを得ない皆さん、そして今後被害に合う方も含めた公益になることを目指し、まっすぐこの問題に立ち向かっておられる姿に感動し、深く勇気づけられました。
この問題に対する配慮のない言葉の数々に、私も一緒になって不快感を感じてきました。性犯罪、そのように文字にするだけでおぞましい思いがうずめく、本当にひどい事が平然と行われています。また山口さんをはじめ、加害者がサポートされるような世論さえ存在する(そちらの方が大きくさえ見える)ことに落胆してきました。
一方で昨日、民事訴訟での勝訴が確定した後の集会で、伊藤さんが見せてくださった表情と発言に、やはり大きく心を動かされました。自分の問題を逃げずに直視し、そしてそこから得た教訓を他者と共有しようとする人というのは、これほどにしなやかで美しいのだと教えてくださったこと、本当に感謝しています。集会所にいらした方々を見渡し、皆さんの表情と共に穏やかな雰囲気をたたえた伊藤さんは本当に素晴らしかったです。あれだけの事を、よく受け止めて、そして閉じこもるのでは無く前に進む姿に感動しました。
私には3人の子どもがいます。一番上は娘で今度中学生になります。これからどんな人生を歩むことになるだろうとワクワクする反面、辛い経験もするのではないかと心配することも増えてきました。しかし彼女が人生の課題を目前に悩み苦しむ時、伊藤さんのことを話したらいいかもしれない。私だけで無く、子ども達への勇気も頂いたように思っています。
私にはトラウマにどう対処したらいいのか、そういうことは残念ながらわかりません。でも、どうか命を絶ちそうになる時、踏みとどまってください。あなたが生きるその姿に勇気をもらう人がここにもいます。甥の自死を防ぐ事ができなかった私には、もう逝ってしまった甥に言えないことを、今を生きる誰かに伝える仕事があると思っています。少しでも、伊藤さんの生きる力添えになることを願っています。

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